先日の2月12日に滋賀県のがん対策推進議員連盟で開催されたフォーラムに参加しました。
講演内容は「アピアランス支援について〜患者と社会をつなぐケア〜」というものです。
アピアランス、という言葉は馴染みのない言葉ですよね。
意味は、外見や容貌、という意味で、がん治療で脱毛、皮膚変化など、外見が変化した患者の方を支援する内容でした。
私の身近な親戚の方が数年前に乳がんになられて、放射線治療をされていた時に脱毛されました。帽子やウイッグでカバーされていましたが、複雑な心境だったと思います。
今や、がんに罹っても医学の進歩で、仕事を持ちながら通院治療されている人が32万人おられるとのこと。それに伴って、いくつかの要因があるのですが、外見の問題が注目され初めているというものです。
外見の悩みって?という話の中で、もし無人島に住んでいて誰もいないとしたら、髭を剃ったり、化粧をする人は?との質問にぱらぱらと10名ほどの人が手を挙げられました。
大体、どこの会場も1割位の人が手を挙げるとのことで、少数であるとのこと。
つまり、外見の悩みは社会との接点との問題である、とのことになるほどと思いました。
外見の苦痛の多くは、社会が消えると消える悩み。
外見の変化により、今まで通りの人間関係でいられなくなる、との不安感。
ところが、これまでは医学の世界では、外見のことは軽視されてきた、命に関わることでないから。副作用の専門家がいないし、エビデンスが少ない、とのことです。
脱毛した時のシャンプーや皮膚の変化時の化粧品の使用等々、誰も医学的な見地からでの正しい答えは言える人がいない、とのことでした。
それで、講演の先生である、国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター長の野澤桂子先生のところで、多職種による連携支援のチームが出来ていて、現在エビデンスを調査研究中とのことです。
ただし、外見のケアは手段の一つであり、サポートはその人がゴールに近づくためのハードルを下げる方法、ゴールは人と社会を繋ぐこと、との言葉に大変勉強になりました。
これからも、がんに罹っても多くの人が仕事を続けられる環境の整備と多くのきめ細かい支援が必要だと思いました。
がんの治療の進歩は進んでいても、こういった副作用や外見の変化等の対応の研究がまだこれから、ということですので、今後の成果を期待したいものです。
最近のコメント