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平成21年3月定例会議事録(西村隆行)

1.市長のリーダーシップについて
2.第5次総合計画について
3.公会計改革の導入について
4.ドクターヘリ導入について
5.特別支援教育について

○15番(西村隆行君)登壇
  公明党の西村隆行でございます。皆様、お疲れでございますが、最後までよろしくお願い申し上げます。
  草津市議会公明党を代表いたしまして、今3月定例会に上程されました議案に対する質疑および市長の施政方針を受けて、施策の全般的な課題に対しまして質問させていただきます。
  質問を始めさせていただく前に、昨年12月定例会での私の-般質問として、「定額給付金」に対する市長の対策についていろいろと提案させていただいたところ、2月1日付で、政策推進部内に「定額給付金推進室」を設置していただきました。ありがとうございました。
  担当の職員さんは、兼職の職員さんを含め6名体制で構成され、その兼職の職員さんには、子育て支援課の課長さんも含まれ、2002年(平成14年)4月2日から、2005年(平成17年)4月1日生まれまでの第2子以降の子どもさんたちが対象となる「子育て応援特別手当」にもきちんと対応していくとのかたい決意があらわれております。
  さらに、3月1日付で専任職員さん3人を追加配置されました。並々ならぬ決意のあらわれだと思っております。
  今、全国の各自治体では、その持てる力を結集して、一日でも早く市民の皆様に給付できるよう努力されておられます。既に、給付が始まっているとこもございます。どうか、未曾有の経済悪化に対すべく、市民の皆様を明るくする「定額給付金」の確実な執行を望むものであります。何とぞ、よろしくお願い申し上げます。
  さて、この3月21日から橋川市政2年目に入ります。この一年間でも、県内の首長選が幾つかございましたが、現職に挑戦する立候補者は、オバマ大統領の選挙戦での「チェンジ!」に象徴されるがごとく、必ず、これまでの市政を変えたい、変えるという決意のもとで戦われたかと思います。
  橋川市長も、激戦を戦われたその原点に、草津市をもっとよくしたい、変えることは変えるとのかたい決意があったのではないでしょうか。市政を変える、草津市をよくしたいとの思いは、いまだ満々と続いていることを確信するものでございますが、この一年間で、橋川市政において一番何が変わったと思われるのでしょうか。
  確かに、定例会開会日の「施政方針」の中でも、情報公開が大いに進み、マニフェストで訴えてこられたことも随時実現されておられますことや、「三現主義」を実践すべく現場に行かれ、多くの市民の皆様と対話されて、それを市政を運営をされていく上で大きな糧となったことを訴えておられましたが、まだまだ、私には市役所の隅々まで橋川市長の橋川イズムが行き渡っているとは思えません。
  改革を必要とするとき、信頼して任せるべきことは任せ、その結果として、何かがあれば長として責任をとるといった橋川市長のリーダーシップが伝わっているのでしょうか。
  施政方針の中で、4月からの組織・機構改革による新しい執行体制のもと、全職員とともに知恵を絞り、創意工夫を凝らしながら、一丸となって「市民との協働のまちづくり」の実現を目指し、11万9千市民の幸せのため、職員力、市民力、地域力を結集して、強い意志と信念で、私の座右の銘である「至誠」を旨としながら取り組んでまいる所存でございますと表明されておられましたが、もっと強気で職員さんをリードしていただきたいと思います。
  そこで、橋川市長のリーダーシップについて、「経営の神様」と言われ、世界的にその経営手腕を高く評価されていた、この草津市にも工場がある松下電器産業、現パナソニックの創業者・松下幸之助氏のリーダーシップを例に挙げてお聞きします。
  小説「新・人間革命」に、ほとんどの社員の方であれば御存じであるという「熱海会議」のエピソードが紹介されていました。
  1964年(昭和39年)初夏、会長になっていた松下氏は、熱海のホテルに、当時の販売会社や代理店の社長さんたちに来ていただいて、8割の販売会社や代理店が赤字であったことの原因を探るべく懇談会を開かれました。
  3日間にわたり、各社の苦情や不満を聞かれた松下氏は、2割の販売会社や代理店は黒字であることを通じて、必死に努力すれば道は開けるとしながらも、結局は松下電器が悪かった、この一語に尽きると思います。皆さん方に対する私どものお世話の仕方が不十分でしたと言われて、販売会社や代理店を責めるのではなく、すべて中心者である自分の問題、自分の責任として、その昔、販売会社や代理店から受けた恩義に応えられなかったことをわびられたそうでございます。すると、それまで不満ばかり言っておられた参加者も、考えを改められ団結して頑張ろうと決意されたそうでございます。
  人は、窮地に陥ると、その責任を他人になすりつけることが多いのですが、松下氏の「責任は自分にある」という生き方にこそ、その場の方々は感銘されたのではないでしょうか。
  その後、松下氏は、会長でありながら営業本部長代行をされ、第一線で販売改革に当たられてきました。「勇将のもとに弱卒なし」とございますが、リーダの勇猛果敢な行動ほどメンバーを鼓舞する力はないと言われています。確かに、一企業の経営者と行政の首長の立場が違うかもしれませんが、リーダーとしての思いは同じであると思います。
  そこで、職員の団結力をもってして、11万9千市民の幸せを実現しようとされている橋川市長の目指されているリーダーシップについてお伺いいたします。
  それでは、ここからは橋川市長のリーダーシップのもと、今後進められる施策、事業の基本姿勢について、順次お伺いしていきたいと思います。
  まず、第5次総合計画策定についてお聞きします。
  昨年12月にいただきました「第5次草津市総合計画策定方針」には、次のように計画策定の趣旨がございました。それは、現在、第4次総合計画の目標年次である平成22年への終盤を迎えつつあります。この間、本格的な地方分権時代を迎え、地方の自主性、自律性が一層重要となり、今まで以上に自治体経営基盤の確立を図っていくための重点的、効果的な行政システムを構築することが求められています。
  また、行政需要が多岐にわたっている中で、多様な市民ニーズに対応するためには、行政だけではなく、市民、地域等のさまざまな主体が有する活力を結集して、それぞれの役割を果たし、活動していく地域経営も重要となっています。
  地域づくりの方向性においても、国主導型から分権型のまちづくりや、行政主導型から住民主体型のまちづくりへの転換が求められています。
  本市においても、こうした社会環境の変化を分析しながら、新たなデータに基づいた今後の長期計画が必要となってきました。そのため、市域の抱える課題を解決する方策を導き、市の長期的なまちづくりの方向性を示す最も基本となる第5次総合計画を平成20年度および21年度の2年間をかけて策定します。
  今回の総合計画では、将来像を描く基本構想と構想を実現するための基本計画を策定することになりますが、基本構想については平成32年度の将来像を目指し、基本計画については、市長のマニフェストとの整合を図る計画といたします。
  策定に当たっては、市民ニーズの掘り起こしに市民参画の視点を取り入れるとともに、策定段階における内容を常時公表しますという文章でございました。
  この文章を読ませていただいて、市議会議員に、市民の皆様のおかげでならせていただいてから、毎年、予算説明をしていただいておりますが、第4次総合計画の観点から、この予算は組まれていますというような説明を受けたことがなかったことに気がつきました。
  総合計画とは、そもそも日常の行政活動にどのように関連してくるものなのかという疑問を抱くようになってまいりました。その答えを見出すべく、「総合計画策定懇話会」にて、いろんな大学の先生方のお話をお聞きしたり、総合計画審議会を傍聴させていただいて真剣な論議を聞かせていただいたり、市民会議の資料等を見せていただいて、考えておりました。
  そうしたところ、先日、龍谷大学の院生自主シンポジウム「地域デモクラシーと議会改革-分権時代の自治体議会を考える-」に参加させていただくことができました。
  そこで、平成18年12月8日に、「災害時の応援協定」を結ばせていただいた岐阜県多治見市の前市長の西寺雅也氏の講演を聞かせていただく機会を得ました。
  西寺氏の講演は、「自律自治体の形成と議会改革」というテーマでございました。この講演の「自律」は、他からの支配・援助を受けず、精神的、経済的に独立する「自立」ではなく、他に支配されず、自分で自分を抑えて行動する「自律」でございます。
  この講演をお聞きしていると、西寺氏は「自律自治体の形成」には「総合計画」がいかに大事であるかということを強調されておられました。大変感動いたしました。
  早速、西寺氏の「自律自治体の形成-すべては財政危機との闘いからはじまった-」という著作を読みました。
  第1章の「すべては財政危機との闘いからはじまった」に、こうした「指針」を掲げて財政運営を行うことが可能になったのは、財政改革と並行して進めてきた総合計画によって行政全般のコントロールを可能にするシステムを構築したことによるところが大きいとありました。
  先ほどの総合計画に対する答えが載っていると、はやる気持ちを抑えながら、次の章へと読み進んでまいりました。
  第3章、「総合計画(政策)主導による行政経営」には、多治見市の市政運営の特徴はと問われれば、私たちは、それは総合計画によって行政全体をコントロールするシステムを構築したことにあると即座に答えるだろうとございました。
  西寺氏は、恣意的な政策選択を行わないため、実行計画に掲載されていない事業は予算化しないというルールを定めた。これは、恣意的な、あるいは思いつきのような事業が認められることになれば、総合計画による行政の管理を危うくすることになりかねないという認識に基づいている。前述したように、恣意的な政策・施策選択を許せば、総合計画そのものを有名無実の計画に陥れることになる危険性がある。
  しかも、その一番の原因は首長にあることは指摘したところであり、不要不急な施策が他の事業を押しのける形で突如事業化されることになりかねない。こうしたことを許さないために、首長の自制が求められることになる。一般的に、思いのまま市政運営がしたい首長にとって、総合計画による管理は手かせ、足かせを課されているようなもので、邪魔な存在でしかない。また、いざ選挙となれば、選挙対策としてさまざまな施策や約束事がなされる。ある地域に支持を取りつけるために施設建設を約束する、街並み整備をする、補助金を出すといったことがしばしば行われるのである。それが表で公然と行われるのならまだしも、密約として行われ、総合計画は無視されることになる。こうしたことを市長自ら行わないことの宣言としても、「総合計画に位置づけられていない事業は予算化しない」ルールをつくったのである。
  言いかえれば、一定のルールを踏まなければ実行計画を変更することはできない。ある事業を新たに追加したり、削除したり、制度を変更するときにとらなければならないルールを決めたのである。
  変更や追加は、まず政策会議(庁議)に諮って承認を得なければならない。その後、総合計画市民懇談会(5次総の実施段階で設けた市民委員会。常設されている委員会で毎年度、総合計画の進捗状況等をチェックや評価等、総合計画全体について審議する)に諮り、ここでも承認を受けなければ変更することはできない仕組みであると、総合計画と財政運営の連携の重要性を訴えておられます。
  そして、最後の章に、2007年4月29日に、12年間務められた市長を退任されるときのあいさつを載せておられました。
  その中で、行政の永遠の課題を5点ほど述べられていますが、そのうちの1点について御紹介いたしますと、4点目は、かつての恣意的な行政運営から脱却し、計画的な行政運営を行わなければならないという課題でした。そのために、私は「総合計画」を大切にしようと考えました。今日では、他に類のない多治見方式ともいうべき画期的なシステムをつくり上げることができました。総合計画に基づく行政運営という大きな成果は、総合計画に基づかない行政運営がどのようなものか忘れてしまったと思うほど定着しています。行政全体をコントロールするものとして総合計画がある、そこまで高めることができました。
  しかも、財政縮小時代に突入し、政策の「選択と集中」が求められている今日の状況を考えれば、一層その意義は大きくなると考えなければなりません。
  総合計画のこうしたあり方は、行政が何を行おうとしているかを市民に明確にすることでもあり、計画をつくっても、その実施が担保されることもなく放置されたり、検証されることもなかった過去の状況を打ち破り、市のつくる計画全体に対する信頼性も高めてきました。
  さらに、市民との間でも市政に対する議論において、徐々に総合計画やその内容をめぐって行われることが多くなってきていますと、総合計画の重要性を重ねて訴えておられました。
  このように、多治見市の市長であられたとき、西寺氏は果敢なるリーダーシップを発揮され、総合計画に基づく行政運営を実施されてきたのです。
  ただし、職員さんの総合力を生かせるように陣頭指揮をとられたようでございまして、何もかも細かいことまでは指示はされなかったようでございます。
  定例会開会日の施政方針の中で、橋川市長は、2年目となります21年度における施策、事業につきましては、マニフェストの実行に向けた取り組みとあわせまして、土地利用を初めとした諸課題の解決を図り、草津の持つポテンシャルを高めて、湖南地域、ひいては滋賀県の牽引力となる都市づくり、まちづくりを目指し、現在策定中の第5次総合計画にも位置づけてまいりたいと考えておりますと冒頭に述べられ、予算の説明の中で、これからの目指すべき市の将来の姿を市民とともに考え、解決の道筋を示す総合計画として、平成20年度に引き続き、第5次総合計画を策定するとの説明でございましたが、草津市を取り巻く情勢や時代の変化がめまぐるしい状況下においても、多治見市のような総合計画に基づく行政運営を実現することについて、橋川市長の所見をお伺いするとともに、本市においては、いかに総合計画に基づく行政運営を実現していかれようとしているのか、お伺いいたします。
  次に、「公会計改革」の導入についてお聞きします。
  先日行われました「草津市地方公会計改革研修会」に、多くの職員さんと一緒に参加して、「公会計改革の意義と必要性~草津市の健康診断と処方箋~」を研修させていただきました。
  研修会では、これまでの行政運営ではなく、行政経営意思の決定に役立つ地方公会計改革の導入について学ばせていただきました。
  地方公会計改革の導入の目的は、地方自治体の資産・債務の適切な管理、すなわち会計情報の整備、議会・市民に対する財務情報開示の充実、行政経営意思決定への活用であると教えていただきました。そのためには、貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の4点の作成が必要とのことでございました。
  貸借対照表は、次世代に託す自治体の姿、すなわち自治体がどれほどの資産や債務を有するかについての情報を示すものです。行政コスト計算書は、経常的な行政サービスのコスト、すなわち自治体の経常的な活動に伴うコストと使用料・手数料等の収入を示すものです。資金収支計算書は、支出とその財源の対応関係、すなわち自治体の現金の流れを示すものであり、その収支を性質に応じて三つに区分し、どのような活動に資金が必要とされているかを示すものです。
  純資産変動計算書は、純資産の増減等の状況、すなわち自治体の純資産、つまり資産から負債を差し引いた残余が、1年間にどのように増減したかを明らかにするものです。
  この四つの作成のもとに、ある地方都市の地方公会計改革を出発点とした実践事例を通して、公会計改革の導入の重要性を講師の公認会計士の方が訴えておられました。その地方都市における公会計改革の実践のまとめとして御紹介いただいたのは、次の5点でございました。
  行政運営から行政経営への転換、見えないコストを可視化し行政実態を把握、全職員を巻き込んだ全庁的な意識改革、市民の視点を取り込んだ改革アイデア、議会・市民への積極的な情報公開ということでございました。
  私は、全職員を巻き込んだ全庁的な意識改革が公会計改革の導入には一番必要であると思っております。
  そこで、この公会計改革の導入で見えてくる行政運営から行政経営への転換について、および、それを実現可能にするための全庁的な職員の意識改革をどのようにしていかれるのか、橋川市長のお考えをお伺いします。
  次に、「もっと安全」を訴えておられ、湖南広域行政組合の管理者であります橋川市長の滋賀県におけるドクターヘリの導入に対する所見についてお聞きします。
  御存じのように、ドクターヘリの導入については、滋賀県が主体となって進めていく事業でございますが、11万9千草津市民のより安全を確保するためには、滋賀県における中心都市の市長として、ぜひ大きな声を上げていただきたいと思い、質問いたします。
  先日、ある病院にお邪魔をし、その病院の救急部長をされているドクターに、ドクターヘリについていろいろとお話をお聞きしてまいりました。そこで私が一番感銘いたしましたのは、ドクターヘリは現場から緊急患者さんを運ぶだけではなく、救出困難な現場にドクターを連れていくことができ、現場で医療行為を開始することができるということでございました。
  確かに、市内どこでも数分で救急車が到着できるかもしれませんが、その場で医療行為は始められません。ドクターヘリは、1970年にドイツで誕生いたしました。現在、ドイツには73機配備されていて、国内のどこへでも15分以内に到着できるようになっているそうでございます。ドクターヘリ導入後、ドイツの交通事故の死亡者が3分の1に激減したと言われております。
  私たちのより一層の安全・安心のために、ドクターヘリ導入は必要であると確信いたします。現在、日本では1道1府11県14病院での運用にとどまっている実情です。昨今の地方自治体の苦しい財政事情では、年間1億8,000万の運航費用、そのうち国が9,000万円で、地方自治体の負担は9,000万円が負担できず、導入にちゅうちょされています。
  私たち公明党は、国、県、市町村を挙げてドクターヘリ導入を訴えておりますが、滋賀県知事は、関西広域連合の協議の場で効率的な配置が実現されるよう積極的に取り組むという答えしかされておられません。これでは、県独自の導入は望めません。
  先ほどの病院のドクターは、「滋賀県と同じ予算の和歌山県が県独自で導入されています。予算内容は詳しくはわかりませんが、滋賀県も決して県独自で導入できないことはないと思います」と言われておられました。
  滋賀県独自のドクターヘリの導入に向けて、より一層の大きな声を上げていただくことに対しての橋川市長の所見をお伺いいたします。
  次に、草津市の特別支援教育についてお聞きします。
  新年度、本市においては教育予算が大幅にアップし、とりわけ特別支援教育への支援への人的予算がかなり多くとられています。これは、草津市が特別支援教育に対して本気で取り組んでいただけるという意思が、よくあらわれていると思います。
  あと大事なのは、その人的支援をどれだけ現場で効果的に的確に使っていただけるのか、そのためにもしっかりとした研修体制や、支援員さんからの質問や疑問が気軽に相談できる体制をしっかりと構築していただくことを要望するものでございます。
  新教育長のもと、教育への改革がかいま見え、大変期待をしております。ただし、特別支援教育には、中学校で終わりということではなく、行き着く先の支援は何なのか、何のための支援なのか、そこをしっかり認識していただきたいのでございます。
  文部科学省の「特別支援教育」というパンフレットを読んでみますと、特別支援教育は、障害のある子どもたちが自立し、社会参加するために必要な力を培うため、子ども一人一人の教育的ニーズを把握し、その可能性を最大限に伸ばし、生活や学習上の困難を改善、または克服するため、適切な指導および必要な支援を行うものです。特別支援学校のみならず、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校の通常の学級に在籍する発達障害のある子どもを含めて、障害による特別な支援を必要とする子どもたちが在籍するすべての学校において実施されるものでございます。
  障害のある子どもたちへの教育にとどまらず、多様な個人が能力を発揮しつつ、自立して、ともに社会に参加し、支え合う「共生社会」の形成の基盤となるものであり、我が国の現在および将来の社会にとって重要な意味を持っていますとございました。
  このことからもわかるように、特別支援教育は、障害がある子どもたちの特化した支援、教育ではなく、すべての子どもたちへの教育であるということ。また、学校卒業後に就労して、自立し、あるいは社会に参加し、すべての人との「共生社会」を目指すものでございます。
  平成21年度では、小学校、中学校での支援体制がしっかりなされると大いに期待するものでございますが、次へのステップとして、学校卒業後の就労支援までの体制づくりが必要かと思っております。
  発達障害者の一貫した支援体制で、全国的に先進地として知られている湖南市の「障がいのある人が地域でいきいきと生活できるための自立支援に関する湖南市条例」の第1条にございます。
  この条例は、障害者の発達および自立の支援に関し、市、市民および事業者の責務を明らかにするとともに、市が行う施策の基本的事項を定めることにより、障害者一人一人の能力、適性、発達段階および社会環境に応じた保健、福祉、医療、教育および就労に関する施策を横断的かつ計画的に推進し、もって障害者の自立および障害者が生き生きと安心して生活できる地域社会の実現に寄与することを目的とするというような体制づくりができるようになっていただきたく、特別支援教育および、誕生から就労まで一貫した支援施策に対する今後のさらなる取り組みを進めるお考えがあるのかどうか、お伺いいたします。
  以上、いろいろとお伺いいたしましたが、100年に一度と言われる未曾有の危機の中、11万9千市民の生活を守っていただけることを期待して、私の代表質問を終わらせていただきます。
  ありがとうございました。
○議長(中島一廣君)
  それでは、ただいまの15番、西村議員の質問に対して答弁を求めます。
  橋川市長。
○市長(橋川 渉君)登壇
  ただいまの公明党、西村隆行議員の代表質問にお答えいたします。
  市長のリーダーシップについてのお尋ねでございますが、私の目指しているリーダーシップとは、昨年5月の定例市議会の答弁の中で、リーダーには「統率力」に加え、「対話力」が必要であり、その前提となるリーダーの物の考え方や行動を理解し、組織として行動しなければ、よい成果は得られず、それには日ごろからの対話力が大きく作用するものだという考え方を述べたところでございます。
  このことを実践いたしますため、市民の皆様や職員と対話する際には、できる限り現場に出向いて市政や施策について意見を聞き、また、私の思いを申してまいったところでございます。
  一方で、私が、マニフェストに掲げました政策・施策を実現するため、職員とともにロードマップ実行計画の策定を行い、教育委員の公募、市役所窓口の日曜開庁、さらには予算の編成過程の情報開示など、順次着手をしてきたところでございます。そういった意味では、一定変化の兆しや、手前みそながら橋川イズムも浸透しつつあるといった現状認識をしております。
  さて、例に挙げられました「経営の神様」と言われた松下幸之助氏のリーダーとしての行動につきましては、販売店社長との対話の中で、互いに思いを確認し、しっかりとした対応策を打ち出し、そしてリーダー自らが率先垂範して事に当たられたものでございまして、私が常々申しております「現場に行って、現物を見て、現実を知る」、そのことで課題を的確に把握して事に当たる「三現主義」に通ずるものであると考えております。
  松下幸之助氏は、剛腕なイメージのリーダーではございませんが、今なお、国内外の各界の人々から敬愛されておられるところでございます。それは、現場の状況を的確に把握し、リーダーとしての決断をし、そして方針を明確に打ち出し、自身が率先して事に当たられ、自らに責任を課す姿にあると思います。この姿勢は、大いに見習うべきものと考えておりますし、私の好きな作家、「ローマ人の物語」を書いた塩野七生さんは、リーダーシップに必要なのは「責任」と「信念」であると言っておられます。
  私といたしましても、座右の銘であります「至誠」、本当の誠を大切にしながら、今後も現場での対話の中で、現状を把握し、私自身が職員の先頭に立って市民との協働のまちづくりに取り組んでまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。
  次に、総合計画に基づく行政運営を実現することについてのお尋ねでございますが、私は、かねてから総合計画は本市の今後におけるまちづくりの指針となるべきものであり、総合計画に基づき行政運営を進めることが基本であると考えておりまして、時の為政者の恣意や思いつきにより政策が左右されることなく、市民と協働で策定した計画に基づいて進めることが必要であると認識しております。
  今回の第5次総合計画の策定に当たりまして、基本構想は、これまでと同様に計画期間を10年といたしておりますが、基本計画の期間につきましては、総合計画に基づく行政運営の視点から、社会経済情勢の変化にも対応できるよう、市長の任期に整合させるとともに、財政運営計画に即した計画、目標値の設定などによる経営的視点を取り入れた計画となるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
  したがいまして、草津市の目指すべき方向性を具体的に明らかにした上で、私の総合計画の位置づけに対する基本的な考え方は、議員御案内の多治見市の西寺前市長に似たものと受けとめております。
  なお、昨今の社会経済情勢や国・県の制度の急激な変化・改革などに対応することも、また大切でありますので、透明性の確保と情報公開を前提として意思決定のルールづくりを行いながら、機動的かつ適切に総合計画を軸とした行政運営を行う必要もあると考えております。
  次に、公会計改革の導入についての職員の意識改革をどのようにするのかとのお尋ねでございますが、議員御指摘のとおり、公会計改革は自治体行政を進める上での根本的な転換、すなわち行政運営から行政経営への転換が求められているものであり、全職員の意識改革や全庁的な取り組みが重要であると考えております。
  そのための1方策として、去る2月26日には、公会計改革の目的や動向を本市職員全員の共通認識としてとらえるため、公会計研修会を実施したものでございます。
  また、平成20年度決算からは、これまでの普通会計に加えて、公営企業会計や地方公社、第三セクター等を含めた連結ベースでの財務4表作成が義務づけられておりますので、関係するこれらの部署の自発的な取り組みが不可欠となります。
  したがいまして、平成21年度からの財務諸表の作成に当たりましては、ワーキンググループの設置等により、なるべく多くの部署や職員がかかわる仕組みづくりに取りかかっていきたいと考えております。
  いずれにいたしましても、公会計制度の導入は、単に複式簿記や発生主義といった企業会計の会計基準を導入し、提示されたモデルに従った財務諸表を整備することだけが目的ではなく、財務諸表作成の過程で必要となる市の資産、債権の把握や評価が何より重要でございますし、作成した財務諸表を経営改革推進のための共通ツールとして活用できるような仕組みづくりをあわせて検討していく必要があると考えております。
  行政職員は、ものの維持管理や既存サービスの検証といった視点に欠けると言われておりますが、その課題を克服するためにも、これからの行政職員は、日常からコスト意識や経営管理的思考を持って業務執行に当たる必要があります。このことから、今後も必要に応じて改革の趣旨、目的等の周知を図っていきたいと考えております。
  なお、地方公会計改革の推進は、まだ緒についたばかりであり、その進め方や活用方法につきましても、さらに調査・研究をしていかなければならないものであり、現在、県と県下市町が共同で進めております公会計研究会等において、先進都市の事例も参考にしながら、よりよい方法を検討してまいります。
  次に、滋賀県独自のドクターヘリの導入に向けての所見についてのお尋ねですが、ドクターヘリの目的は、重篤な患者が発生した場所に医師と看護師をいち早く派遣し、救命医療が行えることから、山間部などの救命救急センターから離れている地域での重篤患者の搬送、救命に威力を発揮し、有効性があると理解しております。
  しかし、滋賀県においては、平成20年11月定例県議会で、嘉田知事がこの質問に対し、県単独での導入よりは、広域運航、共同運航を視野に検討を進めると答弁されておられます。
  私といたしましては、ドクターヘリの導入については、医師確保など、まだまだ多くの課題があると聞き及んでおりますので、今後も県において、これらの課題の整理をいただくことが必要と思われますが、人命にかかわることであり、早期に実現されるよう県に働きかけてまいります。
  次に、誕生から就労まで一貫した支援施策に対する今後のさらなる取り組みについてのお尋ねでございますが、本市では、発達障害のある方々のライフステージに応じた一貫した支援を進めるために、平成19年3月に「草津市発達障害者支援システム」の整備に向けた指針を策定し、関係機関とのネットワークづくりを図りながら取り組みを進めております。
  平成19年5月には、相談・支援の拠点として発達障害者支援センターを開設し、就学前から学齢期を中心に、おおむね18歳くらいまでの方々への相談支援、発達支援を行っているところでございます。
  議員御指摘のとおり、就労までの一貫した支援の取り組みが、発達障害のある方々にとっては地域で自立した生活をする上で大変重要であります。
  しかしながら、現在の就労支援といたしましては、その専門性や広域性のため本市のみで実施することにはさまざまな困難もございますことから、これらの相談に関しましては、県の発達障害者支援センター「いぶき」や、昨年、湖南圏域で設置いたしました働き暮らし応援センター「りらく」などの紹介にとどまっておりますが、今後は市としても主体的な就労支援が必要であると考えております。
  このため、次年度はこうした学齢期へのかかわりを充実強化するため、市の発達障害者支援センターに指導主事を配置し、教育と福祉の連携を図りながら、義務教育終了後の進路や、学校卒業後の就労に関する相談支援に対するニーズの把握や、義務教育終了後の進路に関する実態調査を実施し、今後の取り組みに活用する考えでございます。
  平成17年に発達障害者支援法が施行され、最近、とみに特別支援教育の重要性が叫ばれておりますものの、全国的にはこうした取り組みは緒についたところでありますが、本市におきましては、他市に先駆けていち早く取り組みを進めてきたところであり、今後におきましても、この流れをとめることなく、障害の早期発見と早期発達支援に重点を置いた施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
  他の御質問につきましては、教育長が答弁をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
○議長(中島一廣君)
  三木教育長。
○教育長(三木逸郎君)登壇
  幼稚園、小学校、中学校の特別支援教育ですが、昨年6月より、市内小・中学校に2名ずつ特別支援教育支援員を配置し、支援員の研修会や特別支援教育コーディネーターの研修会を行い、専門家のアドバイスを受けながら、支援を必要とする児童・生徒に対して適切な支援ができるよう取り組んでまいりました。
  来年度は、学校教育課に、幼児・児童・生徒支援グループを新たに設けるとともに、発達障害者支援センターにも教員を配置して、福祉部間との連携を密にするなど組織体制を充実してまいりますし、支援を必要とする児童・生徒が多い学校には、支援員の増員も検討しています。
  また、平成19年度より特別支援教育が始まると同時に、各校で特別支援教育の推進役としてコーディネーターの複数指名を県教育委員会から指導されておりましたが、専任でなく学級担任と兼任であったり、教務主任などの校務分掌を兼務していたりするため、コーディネーターとしての役割が十分果たせていないのが実情でありました。
  そこで、小学校にコーディネーターサポート教員を1名配置することで、コーディネーター教員の授業時間数を軽減し、本来のコーディネーターの役割である特別支援に係る校内会議の企画運営や研修会の開催、ほかの関係する機関との連携も緊密化できることになります。また、保護者や担任の悩み、相談にも対応することができると考えています。
  さらに、支援員に具体的な指示をすることや支援員の悩みや相談に乗る時間も確保できますし、支援員とそれぞれの担任との連携も深める橋渡しができ、支援員の力が引き出せると考えています。
  なお、支援を必要とする就学前の幼児の情報については、発達障害者支援センターの心理判定員や草津市ことばの教室の指導員、各園・所の担任から個別の指導計画等を引き継ぎ、就学先の学校と連携を進めています。
  小学校から中学校に向けましては、コーディネーター研修会、連絡会において引き継ぎの機会を持っています。
  なお、高校進学希望者につきましては、進路希望の調査段階から高校と連絡をとることもありますし、進学先が決定しましたときは、入学後に可能な限り引き継ぎを行っています。  
  今後とも、制度の点検を行い、特別支援教育の充実に努めてまいりたいと考えますので、御理解賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(中島一廣君)
  これにて、15番、西村議員の質問を終わります。

市民相談

皆様の思いを承りました。

3月度の市民相談の分野別
道路関係 4
医療介護関係 2
障がい者の方に関すること 3
お金に関すること 5
市役所関連 3
法律関連 1
教育 5
交通 0
その他 6
合計 29

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