「質問内容と市の答弁」

 おはようございます。
 草津市議会議員の西村隆行です。昨日行いました、草津市議会10月定例会での一般質問の内容と市の答弁を紹介します。
 長文になりますが、よろしくお願いします。

○質問
 最近、市民の方々とお話ししていると、異口同音に「高齢になってくると、外出することに不安を感じてしまう。」と言われることが多くなってきました。
 高齢者の方々が自動車運転におけるブレーキとアクセルの踏み間違いなどへの不安によって運転免許書を返納しても、公共交通の規制緩和による廃止路線の拡大等で、思うように外出できなくなってきているとのことです。
 また、大きな病院へ行くにも、昼間のタクシーが少なく、予約の時間に行けないことがあるので、予約の相当前から出かけなくてはならないこともあり、大変に苦労されておられます。
 草津未来研究所の本年3月に発表された「草津市の高齢人口に関する調査研究報告書」によると、平成27年度の草津市の高齢化率は全国平均26.6%を下回っていて、20.0%となっていますが、ご存じのとおり確実に高齢者の方は増えております。
 ちなみに、令和元年9月16日総務省発表で全国は28.4%、草津市は8月31日現在22.0%になっております。
 また、同報告書に高齢者の皆さんの外出とその移動手段について調査されると、一人暮らしの方は外出を控えている割合がやや高く、その理由としては、「耳の障害」および「移動手段がない」との理由がやや多かったとのことです。そして、そのような中での移動手段としてはタクシーを使っておられる方が多いとのことでした。
住みよさ抜群と言われていて、「終の棲家」にふさわしいと言われている草津市として、このように市民の方々に、特に高齢者の皆様に外出に不安を持っていただいている現状について草津市行政はどのように分析され、解決策を考えておれるかお聞きします。

○市の答弁
 高齢者の皆さんが抱える外出への不安につきましては、各地域でのワークショップ等において、現在、マイカー等で移動をされている方においては、運転免許証を自主返納すれば移動手段がなくなることから、返納したくてもできないという意見をいただいている状況です。
 そのような中で、少しでも高齢者の方の不安を解消すべく、昨年度に地域公共交通網形成計画を策定したところであります。
 当該計画には、路線バスやまめバスだけでなく、タクシーによる移動手段も検討項目に入れており、多様な移動手段を選択できる環境整備について、検討を進めてまいりたいと考えております。

○質問 
 ここで、改めて「まめバス」についていろいろと確認したいと思います。
 平成22年8月2日から有料運行を開始されたのですが、各路線によって乗車状況の変化によって廃止された路線があり、平成25年度より、多少の変化はあったそうですが、現状の路線に落ち着いたと聞いております。
 平成25年10月から平成26年9月の1年間の乗車状況は平均8244人でしたが、次の1年間は9039人で、その次は9154人、その次は9970人で、平成29年10月から平成30年9月は11068人と微増しています。
 これからの「まめバス」の市内における高齢者の皆様の外出にお役に立てる可能性はどうでしょうか、お聞きします。

○市の答弁
 まめバスの可能性につきましては、公共交通ネットワークの確立やバス交通空白地および不便地の解消、交通弱者等の生活交通手段の確保、地域間交流の拡大等を目的に、バリアフリー対応車両により、まめバスを運行しており、高齢者をはじめ多くの市民の皆様に御利用いただいている状況です。
 しかしながら、現在、バス業界全体で、大型二種免許取得者の減少に伴う運転手不足の問題が深刻化していることから、新規路線の設定や路線の拡大の検討は困難な状況ではございますが、まめバス以外の移動手段も含めた地域での公共交通の利用促進や利用転換の取組を進めるとともに、高齢者をはじめとする多くの市民の皆様のニーズを踏まえながら、より良い移動手段のあり方について検討をしてまいりたいと考えております。

【再質問】
福祉とまめバスの連携はあるか。
【答弁】
健康福祉部におきましては、草津市地域公共交通網形成計画の策定・事業推進を行う草津市地域公共交通活性化再生協議会や、まめバス事業などを推進する草津市地域公共交通会議、福祉有償運送事業の審議を行う草津市福祉有償運送運営協議会において委員として参画していただいております。また、健康福祉部が中心となり、取組の支援を促進している地域支え合い運送につきましても、交通政策部局と福祉部局が情報共有を図っているところです。

【再質問】
まめバスの使い方について、何か高齢者に助言しているか。
【答弁(健康福祉部長)】
高齢者が外出される際に手段がないということで、出来るだけまめバスの本数を増やしてもらうように協議している。

○質問
 これからは、お隣の守山市と広島県神石郡(じんせきぐん)神石(じんせき)高原町(こうげんちょう)の例を紹介しながら草津市の考えをお聞きします。
 まず、守山市のデマンド乗合タクシー「もーりーカー」について紹介します。
守山市民の方で原則として介助の必要がなく、一人で乗り降りができる方限定ですが、満75歳以上の方、満65歳以上の方で運転免許証を所持していない方、満65歳以上の方で自家用車を所持していない方、身体的な理由等により運転免許証を取得できない方、病気や怪我などの身体的な理由等により車の運転ができない方、3歳までの乳幼児を伴って移動が必要な方、妊娠中の方、そして、守山市役所と市立図書館と環境センターのみを利用される方が利用できるとのことです。
年末年始はお休みですが、毎日午前8時から午後5時までの運行で学区別の乗降場所が決まっており、どこでも行けるのではなく市内の31カ所の特定目的地に限定されています。
事前に利用者登録をしておけば、1回の乗車は400円で、利用希望日の2週間前から予約でき、利用希望当日でも1時間前であれば予約できるとのことです。
 ただし、一般タクシーのように、希望の出発・到着時刻に柔軟に対応し、かつ、どこにでも運行できるものでなく、予約に応じた「乗り合い」で複数の方が同乗して送迎するので、同乗者数、発着地、経路などに応じた時間がかかるそうです。
この守山市のデマンド乗合タクシー「もーりーカー」についての草津市の所見をお聞きします。
○市の答弁
 「もーりーカー」につきましては、路線バスが運行していないバス交通空白地への対応策としてデマンドタクシーを運行しておられます。
 運行形態は、一般タクシーと区別するため停留所間の移動とし、また、路線バスと区別するため料金を路線バスより少しだけ高額に設定することなど、市民の生活スタイルに応じて、路線バス、一般タクシー、デマンドタクシーを選択できるような公共交通として位置付けられておられます。
 また、その他のデマンド型交通の事例といたしまして、大津市の晴嵐台地域においてもデマンドタクシーを運行しておられますが、行政が主体ではなく自治会が運営主体となって、タクシー会社と協定を結ぶことで運行されておられます。
 本市におきましても、多様な移動手段を検討すべきと考え、デマンドタクシーにつきまして、他市の様々な事例を調査研究するとともに、本市の地域の特性やその他の公共交通の状況を踏まえ、検討してまいります。

【再質問】
同じ内容で草津市で導入するとなると何か課題はあるか。
【答弁】
もーりーカーの場合だが、一般タクシーのように、希望する出発・到着場所のドア・ツー・ドアの移動ではなく、予め決められた市内に、342箇所ある乗降場所から、市内に31箇所ある済生会病院等の特定目的地までの移動ができる、という運行形態でございます。ただし、バス路線のような運行ルートは決まっていません。また、帰りの乗車は、行きとは反対に特定目的地から乗降場所へ移動しますが、帰りの乗降場所は、行きと同じ学区内の乗降場所でのみ降車できることとされています。こういった現状を踏まえまして、草津市の地域に応じた交通環境の検討を進めてまいりたいと考えている。

【再質問】
草津市に導入する場合にどのような課題があるかとお聞きしているが、いかがか。
【答弁(都市計画部長)】
バス路線とタクシーのそれぞれのお客様がそれぞれ少しずつデマンドタクシーの方を利用されるとなると、事業者はタクシー事業者とバス事業者がおり、バスの客がデマンタクシーに乗る、そうなると既存の路線バスの客数が減る、するとその路線が維持できなくなるという可能性がある。タクシーの運営においても同様で、タクシー客がデマンドタクシーに乗る、すると既存タクシー客数が少なくなり、営業が成り立たなくなる可能性がある。そういったことを調整するという課題は残っている。

○質問
次に、広島県神石郡(じんせきぐん)神石(じんせき)高原町(こうげんちょう)のJIN(神)プレミアム事業 ふれあいタクシーについて紹介します。
この事業で町やタクシー事業者でつくる町地域公共交通協議会が、「地域の実態を踏まえ既存のデマンド交通に代えてタクシー助成制度『ふれあいタクシー』を導入することで利便性の向上を図るとともに地元タクシー事業者の維持存続や行政の効果的な財政支出を実現するなど地域公共交通の確保・維持に積極的に取り組んだ。」との理由で国土交通省から令和元年度地域公共交通優良団体大臣表彰に選ばれています。
 神石(じんせき)高原町(こうげんちょう)の町民の方で、満75歳以上の方、身体障害者手帳の交付を受けた方、療育手帳の交付を受けた方、精神障害者健康福祉手帳の交付を受けた方、特定疾患医療受給者証の交付を受けた方、介護保険法に規定する要介護者及び要支援者の方、満75歳未満で運転免許証を返納した方、その他町長が認めた方が利用できます。
 先月の9月27日付の公明新聞の記事によると、この事業は2017年4月に導入され、町役場や支所に申請し、登録・交付された「利用者証」をタクシーの運転手に提示すれば、片道最大600円で乗車でき、600円を超える料金は一人当たり月30回まで町が負担する仕組みだそうです。
 登録者は19年3月末時点で1945人と、町人口の2割を超え、75歳以上の方々では65%に達しているとのことです。
 利用回数は17年度が延べ約2万4000回になり、18年度からは妊産婦も対象に加えたことで延べ約3万回に増えたそうです。
 町は関連予算を毎年増やし、19年度は約7870万円を計上されています。
 この町が同制度を始めた背景には、運転手不足によるバス路線の減少があり町内には鉄道がなく、本年9月1日現在の高齢化率46.84%の神石高原町にとって移動手段の確保は死活問題になっていました。かつては路線バスの代替手段としてデマンドバスが走行していたが、住宅が点在している地理的な特徴から「使い勝手が悪い」などと町民から改善を求める声が上がっていたからと公明新聞の記事には紹介されていました。
 この「ふれあいタクシー」についての草津市の所見をお聞きします。

○市の答弁
 「ふれあいタクシー」につきましては、地理的理由により、路線バスやデマンドバスでは非効率な運行となっていたため、ドア・ツー・ドアで移動可能なタクシーの利用料金を助成されることで、地域の移動手段を確保されているものと認識しております。
 本市におきましては、通勤や通学をはじめとする比較的大量な移動をJRや路線バスなどの基幹交通が担い、路線バスが運行していないバス交通空白地をまめバスやタクシーなどの支線交通・補完交通が担っておりますことから、それぞれの移動手段の役割を組み合わせることにより、効率的かつ効果的な利便性の高い持続可能な公共交通ネットワークの形成を目指しております。
 したがいまして、現在、本市におきましては、タクシー助成制度について検討はしておりませんが、今後、デマンドタクシーなど多様な移動手段を検討していく中で、他市の事例を参考にしながら、運用方法などを考えてまいります。

○質問
 いろいろとこれからの草津市における高齢者の皆様のお役に立てる公共交通についてお聞きしました。
あらためて、2018年10月に策定されました「草津市地域公共交通網形成計画」を確認しましたが、「施策2 福祉分野等と連携した移動手段の充実」というところで、ほんの少しだけ「福祉タクシー」等にふれられているだけでした。  
そこで提案いたします。この課題は、決して一つの部署で賄えることではないと考えますので、草津市行政の総合力を結集して取組んで行っていただきたい。
そのために、市長直属の、例えば副市長を責任者としたプロジェクトチームを立ち上げていただきと提案いたしますが、いかがでしょうか、草津市の決意をお聞きします。

○市の答弁
 草津市地域公共交通網形成計画につきましては、今後の人口減少社会や少子高齢化社会に対応した交通環境の整備が急務となってきていることから、将来的な人口減少を見据えた持続可能なまちづくりの実現のため、効率的かつ効果的な利便性の高い持続可能で健幸な公共交通ネットワークの形成を目指し、策定したところでございます。
 当該計画に掲げております「福祉分野等と連携した移動手段の充実」につきましては、御提案いただきましたとおり、交通政策部局と福祉部局との連携や情報共有が必要となりますことから、高齢者や障害者など、誰もが暮らしやすく、また、自由に移動できる機会の実現に向け、今後展開していく施策の中で、プロジェクトチームを立ち上げることも視野に入れ、検討や取組を進めてまいりたいと考えております。

【再質問】
総合計画の視点からの所見を伺う。
【答弁】
今御指摘いただきましたように、各個別計画については総合計画を基に、それを実現するために計画を策定し、各種事業を推進している。草津市の場合、住みよさがいい、住み続けたいといった評価をいただいているが、今後ともそういったことを継続、発展していくためには、3計画で策定したように、コンパクトシティ・プラス・ネットワークという施策の推進も必要と考えている。御指摘のように、高齢者の移動手段の確保は大きな課題であるととらえている。交通部門だけでなく福祉部門も含めて総合的に検討していく必要があると考えているので、どういった組織が必要になるのかということは今後それも含めて検討したいが、総合的に取り組みを進めていきたいと考えている。

 以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
 これからも、高齢者の皆様の外出への公共交通機関に対して追求してまいります。
 なお、10日間ほどすると、インターネットの同時中継の録画が草津市議会のホームページにアップされます。http://www.kensakusystem.jp/kusatsu-vod/
 これからも皆様のお声を草津市行政に届けてまいります。
                 2019年10月30日(水)午前9時12分
 

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