「震災孤児等支援金支給条例」-福島県相馬市長のメルマガから

以下は、福島県相馬市長の立谷秀清氏のメルマガを引用した記事です。
少々長文になりますが、感動した記事ですので...

「被災から40日たって巨大津波の相馬市の被害の全容が明らかになってきた。
まず、床上浸水以上、つまり津波による流水の前に住人が生命の危機に曝さ
れた家屋が1512世帯、住民基本台帳での人口は、前回から修正して5249人だ
った。その中で、今日の段階で死者および行方不明者の合計は475人。
津波襲来の時にこのうちの何人が被災地にいたのかは不明だが、現段階で
死亡者の数が一割を切っていることには、驚きと感謝の気持ちを禁じえない。
原型をとどめた家屋がほとんどない程の大津波から、9割の住民を避難させた
のは地元の消防団員たちだった。しかし、その犠牲者数は前回のメルマガ時
から3人増えて10人となった。

 磯部地区の方々が集団で避難生活をしている「はまなす館」で、殉職された
消防団員のお母上とお会いして首を垂れた。息子を亡くした心中を察するに、
私は何と申し上げたら良いか?お詫びしたい自分の気持ちをどのようにお伝え
すべきか?迷いながら視線を上げた私の前で、背筋を凛と伸ばした彼女は気丈
だった。

「止めたのに、仕事だからと言って避難誘導に向かった。やさしくて良い息子
だった。残した子どもたちのためにも私はしっかり生きなくてはならない」

 殉職した消防団員10人の子供の数は11名、うち18歳未満は9名である。
社会人として自立する前の子供たちを残して、死んでいった彼らの気持ちを思うと
胸が苦しくなる。さぞや無念、心残りだったろう。多くの市民を助けた代償とし
ても、余りにも重く、辛い。相馬市が続く限り、市民は彼らを忘れてはならない。

 我われ残された者たちが、父親の無念の代わりを果たすことなど、とても
出来ないことだが、万分の一でもの償いと思い、生活支援金条例を作ることと
した。遺児たちが18歳になるまで月々3万円を支給するものである。
全くの孤児となった、あるいは片親だけを合わせ、今回の災害で親を亡くした
18歳未満孤児または遺児は、全部で44人にのぼる。この子らが成長するまでの
経済的負担の一部を、市の責任で担っていくことを市民の総意で決めようと
考えている。今月の臨時議会にかけ議決を得しだい支給することとしたい。

 財源は、遺児たちのための義援金の基金口座を作ったので、出来れば
世界中からの善意をいただきたいと思っているが、不足する場合は市の
一般財源で対応する。総額は約2億円。もしも、義捐金がこれを突破する
ことがあれば、次には大学進学のための奨学金などに充てていきたい。
その際は条例を改正することになるが、もうひとつの条件は、孤児らに、
将来強く生きていくための学力をつけさせることである。

 相馬市の小・中学校は4月18日に遅れた新学期を迎えたが、心配した
とおり被災地の子どもたちは、心の傷が学習の障害になっている。我われは、
臨床心理士と保健師ら常勤6人体制による「相馬フォロアーチーム」を結成し、
教育委員会の別働隊として被災児童生徒のサポート体制を敷いた。現段階で
2年は継続することとしているが、仮に精神が安定した後もしばらくは、
学力向上のためにきめ細かな指導を続けてもらいたいと思っている。

 先日、私のメルマガを読んだというフィンランドと英国のテレビ局が取材に
来たので、「貴国の友情をこの子らに!」と呼びかけた。ゆえに相馬市の
ホームページの義援金口座ワッペンは英語バージョンも用意した。拙稿の
読者諸兄にもご賛同いただけるよう、平身低頭。

※相馬市ホームページ
「震災孤児及び被災者就学資金義援金を受け付けています」
http://www.city.soma.fukushima.jp/0311_jishin/gienkin/tunami_orphan_J.html

出典:相馬市長立谷秀清メールマガジン
  (発行 福島県相馬市 企画政策部秘書課)

福島県相馬市長
立谷秀清」

原発や被災者への後手後手の政府の対応と違って、未来ある子どもたちへの
心からの支援であり、大人として責任をもってしなければならない決意が
よく感じられ、血の通った施策だと思いました。
まだまだ気の遠くなるような復興への道のりだと思いますが、被災された方々への
支援が最優先課題として実行できるよう願うものです。

本市においても、何か出来る事はないか、最近ずっと考えています。

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