めざすべき「議論、討議、討論」とは?

  草津市議会の西垣和美です。
 来週の今頃、あと一週間で元旦です。年内中に済ませてしまわなければいけないことを考えると焦ってしまいます。
 そんな中、昨日今日と、議会改革推進特別委員会が開催されました。
 現在は、議会基本条例の素案づくりに議論を交わしています。たたき台を基に、前もって会派で議論した内容を記入した意見シートを提出して委員会にのぞんでいます。
 委員長の経験は、初めてで、初日、つい自分の意見を主張してしまい、反省からスタートしました。
 以後、なるべく委員の方々の意見を引き出せるよう、活発な議論となるよう意識しています。
 H23年に策定された自治体基本条例の議会の項目を体系立てし、加えてこの2年間で抽出し議論した項目を体系の中に組み込み、その体系に沿ってたたき台が作られました。
 先進地の基本条例も参考にしながら、進めています。昨日、今日と新たに認識したのは、討議、という言葉です。
 討議する議会、という条立てがあり、昨日も、議論との違いを確認し合いました。
 議員間討議、これがいつの間にか議会になくなり、そして今、地方分権時代にあって、再び認識されてきています。
 今読みかけている、竹下譲氏の「地方議会ーその現実と改革の方向」という本に、『議会沈滞の最大の原因は"会議規則"』という大変興味深い文章があります。
 それは、昭和20年代の議会の古い議事録を読んでいると、議員が互いに相手を屈服させようと、議論白熱している様子がわかり、本物の討論をしていた、というくだりがあります。「本物の」という表現がみそです。
 また、イギリスの市議会を傍聴した時の話があり、ある議案で、反対議員と賛成議員はほぼ半数であって、相手を説得しようと弁をふるい、段々と興奮し、激しい論争、いつ果てるともみえない論争となった。ただし、相手の言い分は聞くという各議員の姿勢は変わらず、最終的には2時間ほどで集結し、反対派が相手方の説得に成功し、結局、圧倒的多数で議案が否決された、とのことでした。
 ここで、大事だと感じるのは、古い議事録やイギリスでの傍聴も、どういう議案が審議されているのかが明確にわかる、ということです。
 ですから、住民にとっても理解しやすく、自分たちの代表がどういう活動をしているか、ということがわかりやすい審議であったと想定される、とのことです
 翻って、今の議会の議事録読んでいても、何を審議したのか、わからないことが多い、との評。
 昭和20年代は、それぞれの議会が持ち味を出し、議会らしい審議をしていたと想定され、現在の形になった分岐点が、昭和30年代にあったようです。それは、議会運営がスムースにいくように、会議規則のモデルとなる「標準会議規則」を当時の自治省が作った(想定)とのことです。
 以来、瞬く間に、全国の議会に広がり、「標準会議規則」に定められた議会運営となり、質問の仕方も、発言の仕方も、議論の仕方も、あるいは議案のかけ方、委員会の審議の仕方、採決の仕方もほとんど全ての地方議会で同じになった、とのことです。
 そのことは、できるだけ時間がかからない、そつのない審議の能率を高めていることには間違いないが、議会審議が形式的で面白みのないものになったことを意味する、とのこと。
 議会の閉会日に行う討論も、一般社会では理解できないような奇っ怪な討論になった、とのことです。
 確かに、議会で行っている討論は、変わった形式だなぁと思っていました。通告制ですので、お互いに相手の意見は関係なく、それぞれ、自分の意見を述べ、賛成者、反対者、お互いそっぽを向いた意見を発表していてそれは、「標準会議規則」に縛り付けられているからだと。これは法律でもなんでもなく、その議会独自の、会議規則をつくることができるし、またつくるべきではないか、と主張されています。目的はあくまで、市民にわかりやすいものにすることだとのことです。
 草津市議会でも、委員会は、議論をするようにはなってきています。しかし、討議、についてはどうか、というところです。基本条例の素案の文章では討議し、合意形成する、となっています。
 賛成、反対の意見を表明し、理論的に理由を述べ、説明する、納得させる、という文化は、残念ながら日本の文化は苦手であります。ですから、感情的になりがちで、意見を否定されると、理屈より、感情的なものが先に走り、中味の本質から議論が外れてしまうこともあったり、感情を害しないよう、議論を避けたりしがちだと思います。
 私自身も、討議の力は身についていないと思います。これからの、議会の審議は議員間討議によって、議決にいたるまでの経過を市民のかたに説明していく責任が求められると思います。
 素案が出来るのは、2月末から3月にかけてを想定しています。それまでしっかり、討議していきたいと思います。
 
 
 

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