藻谷浩介さん×湯浅 誠さん対談!

 草津市議会議員の西垣和美です。
 8月最後の日となりました。少し前なら、夏休み最後の日でありましたが、現在、草津市では、8月の最後の週から、今年であれば8月26日から2学期が始まっています。理由としては、クーラーが全小中学校に整備されたので、暑い日でも温度調整が出来るから、ということです。
 子どもたちにとっては、夏休みが短くなった気がしているのではないかなぁ(先生も含めて)と思っています。
 本日、滋賀県の自治体職員さんの研究会でもある「チョウチョの会」の10周年記念のセミナーに参加しました。
 登壇者は、「デフレの正体」で有名な藻谷浩介さんと、年越し派遣村、貧困問題で有名な湯浅誠さんでした。
 最初に、30分ほど話題提供的に、藻谷さんから、人口減少、超高齢化のデータをまざまざと、滋賀県、東京周辺の一都3県、全国との比較を見せて頂きました。藻谷さんは、以前、草津市にも講演に来て頂いたことがあり、草津市の人口減少に伴う数値の推移は拝見したことがあります。草津市は、栗東市、守山市と同様、今後30年間において現役世代の減少はほとんどないものの、高齢者の増加は、2倍になる、との推計です。
 滋賀県は、沖縄県と並んで国内では、人口がまだ増加している数少ない県です。が、この後、30年間の中で、県内の多くの市が現役世代が減り、高齢者が増加する、という超高齢社会になります。まちが消滅する、といった衝撃的なニュースもありましたね。
 藻谷さんは、こういったデータをとって(厚労省が出しているデータですが)、みんなを脅かしている訳ではなく、「だから、今どうするか」みんなで知恵を出して考えなければいけない、という警鐘を出しておられます。今後、特に、年金生活者の貧困や生活困窮の問題が増えてくる、と言われていました。
 これは、時々同様の相談を受ける事があり、切実だと思います。
 そこで話題提供として、少子化、貧困、困窮、といった問題は、自己責任ということで、ほっておいて良いのだろうか、ということでした。
つまり、昔はこうだった、私たちは、苦労して我慢してやってきた、といった感情と、社会保証の問題に壁がある、ということです。
 そこで、両者の対談です。お二人がこのような形で対談されるのは、初めてということでした。湯浅さんからは冒頭、2014年に、ようやく生活困窮者支援法が成立した経緯を少し話され、ある種強引に作ったが、社会の意識の高まりはないけれど、とりあえず入り口には立っている、ということ、それは法律がある、という強みがある、と話されていました。
 貧困に関しては、国内の失業率は約4%で、これはほとんど完全雇用に近い、しかし、子どもの6人に一人は貧困である、という実態がある、とのこと。子どもの貧困に関しては、母子家庭のほとんどが働いているが、多くが低所得であることが大きな要因。子どもの貧困率は、子育て世代の大人の貧困率とつながる、そこを自己責任ということで、くくっていいのか、ということでした。
 「経済合理性」の話でなく、「気にくわない」という感情で政策にならない、ということです。社会保障の話を聞いている人が、苦労して我慢して年金払った、子育てしてきた、という自分の人生を否定された、という感情が起きる、とのこと。それは、納得していれば良いが、不当に我慢してきた、という思いがあるから許せない、とう感情になるとの話。だから、不当に我慢しなくても良い状況をつくること。ある方の言葉で、現代は自発的隷従がおこっている、とのこと、等々。どちらの立場も良くわかるなと思いながら聞いていました。社会で支える、ということは頭ではわかっていても、自分の価値観や経験に照らしあわせると、その支援はやり過ぎとか、過保護、ばらまき、ずるい、といった感情が起こるのもわかると思います。そこで、お二人は、手当や支援が後になればなるほど、コスト高になる、ひいては、税金が多く使われ、社会の損失になる、と言われていました。
 現役世代に支えてもらうためにも、将来担ってくれる子どもたちに投資することの理由になる、とも思いました。
 会場との質疑応答もあり、途切れることなく、質問の手が挙がり、活発な議論となりました。
 最後に、お二人からの言葉として、湯浅さんからは、「動かないとジタバタしている時はちょっとづつでも動いている、あきらめて動かないとそこで本当に動かない」との言葉を糧にしている、とのこと。多様な人を認めながら、対話を積み重ねていくことが世論を形成していくことになる、いかに説得するかでなく、いかに耳を傾けてもらうかということを意識している、とのことでした。
 藻谷さんからは、変わらない人は変わらないと思う、と言われた後で、その周りで黙って聞いている人を味方にしていく、目の前の人に勝つのでなく、とのこと。これも、なるほど、と思いました。
 表現は違いますが、お二人に通じることは、あきらめず、対話を積み重ねることが大事である、と実感しました。
 

 
 

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